当初300人程度の小ホールの予定でしたが、急遽「倉敷市民会館」に会場を替えるほど反響が大きかったこの講演会。満員の聴衆に片田先生も「防災講演をこの規模のホールで、しかも満員とは!」と驚かれていました。今年、倉敷市が主催した防災士の講習を受け、防災士になったボランティア、倉敷市災害ボランティア連絡協議会のみなさんなどたくさんの人に支えられている様子で、企画された倉敷市の細やかな配慮が感じられました。

さて、以下は、片田先生が別の会場で行われた講演後のインタビューで語られた言葉です。(リンク先には講演の詳細が写真付きで紹介されています)
【講演後インタビュー】
■ 人間教育まで広がる防災教育 … 自然に向かい合う「姿勢」をどう与えるか、という教育は大事だと思っています。 自然災害は、どんなことが起こるか分かりません。それでも生き延びる子どもであるための「姿勢」をつくることが重要です。
テクニカルに津波の逃げ方を教えるのではなく、そのときの最適な手段は何だろうと考えさせ、危機に向かい合う姿勢を教えていました。 おじいさん、おばあさんを助ける、小さな子どもたちの学校教育を助ける訓練を通して、子どもたちは地域の一員としての役割認識をするようになり、人間教育まで広がりました。 マニュアル的に対応する姿勢ではなく、困難を乗り越える力、その中で弱い者への配慮など、生きることそのものを彼らは学んでいます。防災教育を越えた教育効果があったと思います。
防災は、みんな敵(災害)を知りたがります。しかし、最大の敵は己、そのとき避難しない自分です。「敵を知るよりは己を知れ」と、子どもたちに伝えていました。 地震で揺れてもなかなか逃げられないのが普通の人間です。人間、我が身は大丈夫だと思ってしまいます。
常におびえる必要はありませんが、大きい揺れがきたらちゃんと逃げる。 その日そのときだけ意識を切り替えて、ちゃんと行動できる自分であってほしいです。
http://koukou.passnavi.com/index.php/junior-h/12-tokubetsu/nisinooka2
日が経つごとに、薄れていく東日本大震災の記憶。倉敷で満員の聴衆を集めて行われた防災講演会は、これから細く長く続く(続けていかなくてはいけない)防災教育のあり方について方向性を示してくれたように思いました。